福岡県ワンヘルス推進基本条例第9条(抜粋)
(ワンヘルス実践の基本方針)
第九条 県、市町村その他第六条から第八条までに規定する者又は団体並びに県民及び事業者がワンヘルスの実践に取り組むに当たっては、基本理念にのっとり、次の各項に掲げる課題に関し、当該各項に規定する基本方針の下に行動し、又は活動するよう努めるものとする。
2 人獣共通感染症対策は、人、動物及び環境の各分野における専門的かつ科学的な知見と根拠に基づき、感染源、感染経路及び宿主それぞれに関する対策を研究し、及び講ずること並びに人獣共通感染症に対する県民の理解を深め、適切な対応を可能とすること等により、人獣共通感染症から県民の生命と健康その他の人権を守ることを旨として推進するものとする。
3 薬剤耐性菌対策は、抗菌性薬剤の過剰使用に起因して薬剤耐性菌が増加し、国境を越えて人と動物の健康に対する重大な脅威となっている状況を踏まえ、薬剤の適正使用等の取組について、世界保健機関(WHO)を中心とした国際的な連携及び協力の下に推進するものとする。
4 環境保護は、過剰な森林の伐採や化石燃料の大量消費等の人間活動が一因となった気候変動及び都市化の進展等により、生態系が劣化し、森林の中で生息していたウイルス等の微生物と人間が遭遇する契機となったとされていることから、調和のとれた自然環境の保全と生物の棲み分けの維持が人と動物の健康の維持及び生活環境の保全に不可欠であることを踏まえて推進するものとする。
5 人と動物の共生社会づくりは、次の各号に掲げる観点を踏まえて推進するものとする。
一 現代社会において、愛玩動物が家族の一員となり、人の心の健康づくりや生活の質の向上に貢献していることから、医療、福祉、教育等、様々な分野で愛玩動物を広く活用するとともに、虐待や不適切な飼育と健康管理による愛玩動物への危害及び周辺の生活環境への被害を防止することにより人と愛玩動物の関係をより良く保つこと。二 災害発生時等、人と愛玩動物の救助が必要な事態に備え、救助犬を活用した人の救助活動や愛玩動物の避難及び救護等を迅速に実施できる体制を整備するべきこと。
三 人と野生動物については、野生動物の生態や行動を理解し、適正に棲み分けることにより、共存を図る必要があること。
6 健康づくりは、人及び動物が皆、身体的、精神的及び社会的に良好な状態で生きることができる生活環境の整備を促進し、誰もがスポーツを様々な形で楽しんだり、調和のとれた自然環境と多様な動植物との関係の中で主体的に生きることができるよう支援すること等を旨として推進するものとする。
7 環境と人と動物のより良い関係づくりは、人の健康は、健全な環境の下で生産された健康な家畜その他の安全な農林水産物等を食することで維持されること及び次の観点等を踏まえて推進するものとする。
一 人の健康に有益な働きをする細菌の活用
二 生産者と消費者の結び付きを深め、食の重要性や農林水産業の役割及び意義に対する理解の促進に寄与する地産地消(その地域で生産されたものをその地域で消費し、又は利用することをいう。)の推進
三 消費者が「食」に対する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な生活を実践することができるようにする「食育」の推進
四 生産及び消費における環境への負荷の低減